トラマガ
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 【前編】 【後編】
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(2002年11月25日更新)
今号は、通信講座マスターコース「ヤングアダルト」の講師を務める出版翻訳家、冨永星氏のインタビューをお届けします。
数学の教師から児童文芸の翻訳を始めた冨永氏。子どものころ、辞書を引きながら調べた英語の絵本の単語調べ。
その時の楽しかった思いが出版翻訳の仕事につながりました。

冨永 星>(とみなが・ほし)

★血液型はO型
★「星(ホシ)」というペンネームのような名前は本名。「すぐに覚えられてしまうので、悪いことはできません(笑)」
★訪米の折フィラデルフィアに足を伸ばした。『合衆国憲法のできるまで』に描かれていた場所を実際に訪れて、感慨深かった。調べものは大変だけど、現実がつ いてくるのがノンフィクションを訳す楽しみの一つ
★身長169cm。大柄なので、洋服は海外で買ってくることも
★ストレス解消は山登り。海外の山よりも四季のある日本の山のほうが好き

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――文学少女、数学教師をめざす
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 ごく小さい頃から物語が好きで、浴びるように本を読んでいました。ところが一転、大学は数学教師をめざして理学部の数理科学系に進学。
 「数学を教えたい」と思うようになったのは、小中学校の先生の影響が大きいですね。先生の教え方ひとつで、本来おもしろいものである数学がもっとおもしろくなったり、逆につまらなくもなることに気づき、『子どもたちに数学をおもしろく教えてみたい』と思うようになって。マセガキのたぐいだったんです(笑)。

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――2本の平行線
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 大学では予定通り数学の教職をとりましたが、やっぱり本に関わる仕事がしたくなって、卒業後は図書館の司書を5年、再び数学教育の世界に戻って私立校の数学の先生を10年ほど務め、3〜4年前から児童文学の翻訳を始めました。
 今までの人生を振り返ると、自分のなかで、言葉による表現に対する興味と、子どもに数学を教えるという二本の線が、ずっと平行して走っていたように思います。

 数学はいわゆる自然科学と違って、完全に人間が作り出した概念を相手に、そこからなにかを作り出していくわけで、むしろ文学や絵画と共通するものを持っているように思います。でも、児童文学の翻訳家の先生方とおつきあいするようになって、やはり歩んできた道の違いを強く感じるようになりました(笑)。
 数学の場合、レントゲン写真に写った骨(構造)を見るようなところがあって、骨格とか理屈や筋を追うのはお手のものといえるかもしれませんが、文学は言葉というブロックを使って日常の細かい事実を積み重ねてリアリティーを持たせるものなので、そういう目配りをもっと身につけないといけないなあと、最近とみに感じています。

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――大人の私にできること
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 中学生に数学を教えていた頃は、大変でしたけどおもしろかったですね。子どもって天使でもなんでもなくて、嫌なところもいっぱい持っているんですが、こちらの接し方ひとつで、まったく違う顔を見せてくれます。
 子どものときの体験だけでどういう大人になるかがすべて決まってしまうわけではありませんが、子どもの時にちゃんと自分の居場所を持てて、大人と限らなくとも、誰かにちゃんと認めてもらえたという経験は、とても大切だと思います。私にどれほどのことができるのかはわかりませんが、大人として、少しでもそういう部分に関われればいいな、と思っています。

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――翻訳のルーツ
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 いろいろ理由があって3〜4年前から児童文学の翻訳を始めましたが、翻訳のルーツはというと、小学校高学年までさかのぼります。
 子どもは、新しい知識や技能といい形で出会うと、それを修得するのがともかく楽しくてしかたなくなるものなんですね。私の場合、そのころの英語の先生が原書絵本のペーパーバックをたくさん持っていて、背伸びしたがる私たちによく貸してくれました。それで、その絵本のテキストを一語一語辞書で引いては、日本語に置き換えていったわけです。翻訳とはまるでレベルの違う作業なんですが、このとき味わったわくわくする気持ちが心のどこかにずっと残っていて、今につながったような気がします。

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(後編につづく)


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