トラマガ

   

添削トレーナー対談
佐藤利恵さん×河口知代子さん<後編>

やっぱり本が好き! 出版翻訳者をめざしたきっかけ

高校時代に留学を経験し、本が好きで、一度社会人になってから翻訳の世界に飛び込んだ、と共通点の多いお二人。通信講座「出版翻訳講座」の魅力を語っていただきました。

佐藤さん「なぜ間違いなのか説明できなければ、赤を入れられません」
河口さん「添削を通して、自分自身が勉強になることも多い」

  • お二人は通信講座「出版翻訳講座」(執筆:布施由紀子先生)のトレーナーをなさっていますね。トレーナーをするようになったきっかけは?

    佐藤さん

    佐藤利恵さん

     布施先生の講座を受講していたのですが、講座修了後「トレーナーの空きが出たのでやってみないか」と声を掛けていただきました。人に教えるほどの英語力は自分にはないと思っていましたが、先生に認められた気がしてとてもうれしかったです。

  • 河口さん

    河口知代子さん

     私も「カレッジコース」と通信講座「マスターコース」で合計3年間指導を受けた布施先生から声を掛けていただきました。
     その頃、ロマンス小説翻訳の仕事をいただくようになったばかり。まだ駆け出しで自分の訳に自信がなく、自分の翻訳はこれでいいのかとだんだん不安になってきていた時期でしたので、自分にとってもいいきっかけになると思いトレーナーの仕事を喜んでお受けしました。

  • 添削トレーナーとして、執筆講師の布施先生からはどのような指導をうけるのですか?

    河口さん

    河口さんの翻訳作品『情熱の記憶』の書影
    河口さんの翻訳作品『情熱の記憶』

     トレーナー研修というものがあるんです。研修の期間は、講座の受講期間と同じ6カ月です。受講生さんが課題を提出するのと同じタイミングで6回、布施先生からの直接指導を受けます。
     まず、自分で1回分の課題を訳し、また事前に渡された3名分の練習用の訳文に赤を入れ、その4つの訳文を持って研修に臨みます。そこに入れた赤字が的確かどうか、的確でないならどのように直せばいいのか、厳しく、丁寧に布施先生が指導してくださいます。これを6回分繰り返します

  • 受講生への指導で、難しいと感じるのはどのようなところですか?

    佐藤さん

     間違いを指摘するとき、明らかに間違いだとわかっていても、それがなぜ間違いなのか説明できなければ、赤を入れられません。ここを指摘して反論が来たらどうしようと考え、国語辞典や日本語便覧を引っ張り出して二重三重に調べてから赤を入れます。自分が翻訳をするとき以上に、辞書を引きますね。

  • 河口さん

     慣用表現なんかもそうですね。本当にこれでよかったのかなと、何度も確認します。添削作業を通して、自分自身が勉強になることも多いです。

  • 佐藤さん

     また、受講生の良いところを褒めることは、思った以上に難しいですね。お仕事をしていると間違えないことが前提、逆に正しく訳せていても褒められることはありません。ですので、自分の訳文に対しても常に間違いやよくない部分を探す姿勢が身についてしまって、ついつい厳しくなりがちです。

  • 河口さん

     たしかに、受講生の皆さんのやる気を奪ってしまうようなことがないよう気を配りますよね。途中から、提出がなくなると心配になってしまいますから(笑)。最後まで、提出してもらえるようモチベーションを保つ工夫も、トレーナーにとって大切なことだと感じています。

「出版翻訳講座」は、“ひとつの作品を訳しあげる”という趣旨の講座

  • “ひとつの作品を訳しあげる”という趣旨の講座ですが、どんな作品なのでしょう。

    河口さん

    課題はミステリーの短編作品で、これを6回に分けて全部訳していただきます。ミステリーとはいっても、謎解きがメインではなく、読めば読むほど味が出てくる作品です。私はトレーナーとして何度も読んでいますが、読むたびに新鮮な発見がある。つまり、どんどん深読みができる、面白い作品だと思います。

  • 佐藤さん

    佐藤利恵さんの翻訳作品『逃げ出しちゃえば、世界は動く』の書影
    佐藤利恵さんの翻訳作品『逃げ出しちゃえば、世界は動く』

     だからこそ、訳すときのさじ加減が難しい。訳者は最後まで読んで結末を知っているので、それがあだになって訳しすぎてしまう方もいます。それでは読者は楽しめませんから、どれくらいの加減で訳すのがいいのか、そういったところも勉強になると思います。
     また、短編なので自分ならではの雰囲気を作りやすいし、ひとつの作品を最後まで訳す達成感も得られますよ。

  • 最後に、翻訳を学習中の受講生へメッセージをお願いします。

    河口さん

     まだまだ駆け出しの身で、どうすればもっといい訳ができるのか迷ってばかりです。翻訳は一生勉強なのだと実感することしきりです。縁あって添削を担当させて頂いた方とは、いっしょに悩んで成長していければと思っています。

  • 佐藤さん

     ちょっと苦手で敬遠しがちな分野にも目を向けて取り組んでみたら、新たな発見があるかもしれません。
     また、好きで読んでいる分野と、うまく翻訳できる分野が異なる場合もあります。いろいろなことに興味をもって可能性を広げ、翻訳家デビューのチャンスをつかんでください。

【編集後記】
高校時代に留学を経験し、本が好きで、一度社会人になってから翻訳の世界に飛び込んだ、とお二人には共通点がいくつもあり、インタビューの途中、お互いにうなずきあう場面もしばしばありました。そして何よりも共通しているのは、翻訳が好きだということ。布施先生と同じく「出版翻訳講座」には熱い思いを持ったトレーナーが揃っているのですね!

プロフィール 佐藤さんと河口さんのプロフィール写真

右:佐藤 利恵<さとう りえ>さん
左:河口 知代子<かわぐち ちよこ>さん

  • 文芸翻訳家 杉田七重さんのreco本
  • 実務・映像翻訳家 村瀬隆宗さん
  • 実務とれたて直送便「ゲームの翻訳」
  • 翻訳こぼれ話『ARでバーチャル飼育』シリーズ
  • 講師・受講生の翻訳作品 36作品追加
  • カレッジコースで特別講座「チェッカー講習」を開催しました
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